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Vol.12 No.1

排気・燃焼生成物、後処理・CO2 回収
森 雄一
Yuichi MORI
本誌編集委員、堀場製作所
JSAE ER Editorial Committee / HORIBA,Ltd.

後処理・CO2 回収

 太田ら(1)はディーゼルエンジンのNOx 浄化技術である尿素SCRシステムにおいて、触媒効果の阻害要因となっている固体中間生成物の発生メカニズムを解明すべく、一定温度条件での尿素の分解挙動(質量減少挙動)を調査した(図1)。質量減少速度が3段階に変化(図中①、②、③)していることから、三つの異なる反応が起こったものと考察し、それぞれの反応についてアレニウスプロットを作成した。その結果、②の反応のみ15および30vol%の水蒸気共存の条件でアレニウスプロットの傾きに減少がみられたことから、活性化エネルギーの変化を確認した(図2)。このように、筆者らは高温雰囲気中における尿素の分解過程で水蒸気の影響を受ける反応があることを明らかにした。また尿素分解由来の固体中間生成物である、ビウレット、シアヌル酸、アンメリド、アンメリン、メラミンについても分解挙動を調査した結果、アンメリド、アンメリンについて尿素同様に水蒸気の影響を受ける反応があることを確認した。

 野内ら(2)は先行研究の少ない、ゼオライトを吸着剤とした吸着法によるエンジン排気のCO2 分離・回収に着目し、CO2 吸着特性に関する考察を行った。エンジン排気条件に近い模擬ガス(全流量25L/min、CO2 濃度10vol%)をゼオライト13X(4.65kg)に導入した結果、図1に示すように、導入直後は100%吸着されるが、時間経過とともに吸着率が減少し、約70分で20%程度となることが明らかとなった。実エンジン排気をゼオライトに導入した場合においても、図2に示すとおり、CO2 吸着量は時間の経過とともに減少する結果となった。一方、共存するTHCも同時に吸着されることが判明し、CO2 に比べより吸着されやすい傾向を示した。筆者らは、このTHCの吸着は少なからずCO2 吸着への阻害要因になると考えており、本システムを実車に設置する際には、THCの浄化後となる、三元触媒、または酸化触媒等の下流域への設置が必要と結論付けた。

【参考文献】
(1) 太田 舜、古畑 朋彦、座間 淑夫:水蒸気を含む高温雰囲気中における尿素とその中間生成物分解挙動の実験的考察、2021年内燃機関シンポジウム、講演番号63
(2) 野内 忠則、田中 金太、山﨑 誠志:ゼオライトを用いたエンジン用CO2 分離・回収システムの研究、2021年内燃機関シンポジウム、講演番号66