TOP > バックナンバー > Vol.12 No.1 > CI機関(3)
小坂ら(1)は、CO2 排出量削減に有効な再生可能エネルギーから生成されるオキシメチレンジメチルエーテル(OME3-5)(表1-1)の燃焼特性を、単気筒エンジン試験結果と数値計算により明らかにした。
OME3-5100%燃料のSmokeは、EGR率を増加させてNOx10ppm以下となる条件においてもゼロFSNレベルであり(図1-1)、図示熱効率は、低位発熱量が低く同一出力を得るには約2倍の噴射期間を要するにもかかわらず、軽油に対し0.28pt程度の低下となった。Smokeの解析を、CFDとKitamuraらが提示したφ-Tマップで解析し、sootが生成しにくい燃料であることが分かった(図1-2)。熱効率に関しては、軽油に比べ噴射期間の長さからCA50は遅角するが、後燃えの短さによりCA90は同等となり、これらが見かけの発熱量を増加させる要因であると考えられる。また、CFD解析より燃焼温度の低さが比熱比を増加させ、熱効率が大幅に低下しなかった一つの要因であることも分かった。
井ノ上ら(2)は、着火性を軽油と同等に調合した含酸素燃料(DGM-DMC混合燃料)を、酸素含有率を軽油と混合することで変えた燃料(表2-1)の燃焼特性と排気エミッションを調査した。熱発生率の特徴として、燃料の酸素含有率が高くなるにつれて、熱発生が急減する時期が噴射期間に比例し遅くなるものの、後燃え期間は短くなる(図2-1)。図示熱効率が最大となるのは酸素含有率27mass%であり、これ以上の酸素含有率では冷却損失の増加も伴い、相殺して熱効率が向上しない結果となった。この要因については詳細な解析が必要である。スモーク性能は、酸素含有率が27mass%以上の燃料であれば低NOx でも無煙運転が可能である(図2-2)。一方で、噴射期間短縮による等容度の増加を狙いノズル噴孔径を拡大した結果、冷却損失の増加により図示熱効率の向上には至っていない。