明治大学の木下ら(5-1)は,SiO保護膜とクロム放射膜を真空蒸着した石英窓表面に噴霧火炎を衝突させ,高速度赤外線カメラで撮影したクロム膜からの赤外放射と,噴霧火炎の時空間挙動との相関性に関する講演を行った.赤外放射の時系列画像から,衝突火炎中の渦構造に起因する,火炎衝突点から1ms程の周期でたなびく幅1mm程度の筋状パターンが放射状に拡がる様子が得られた.また,噴射圧低下で赤外放射検出までの時期が遅く,視野全体に拡がる時間が長くなることが分かり,従来の熱流束センサ計測での熱流束・温度計測結果の傾向との一致も示された.壁面温度・熱流束空間分布の時系列可視化に向けた独創的な計測手法として,ディーゼル機関燃焼室の壁面熱伝達現象解明に大きな貢献が期待される.(図5-1)
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徳島大学の小野ら(5-2)は,単噴孔・多噴孔ノズルからの非燃焼蒸発噴霧および燃焼噴霧の発達経過を調査し,噴霧燃焼に伴う熱発生経過への影響に関する講演を行った.非燃焼蒸発噴霧において,単噴孔では噴霧初期に下流域で混合気が形成され,上流域で中心軸が高濃度になるが,多噴孔では噴射初期で噴射率が低く噴霧体積は小さいが,上流域で噴霧が拡がりEOIでは噴霧体積が大きくなる.噴霧・輝炎撮影解析による温度分布・熱発生率等から,多噴孔では燃料噴射後,輝炎の壁面衝突直前で熱発生率上昇が抑制され,衝突後噴霧間の輝炎干渉・燃焼室全体での燃焼進展に伴う熱発生率の再上昇が分かり,実機関多噴孔での噴霧・燃焼特性の詳細解明に繋がる数多くの知見が報告された.(図5-2)(図5-3)(尾形)