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SI機関 2(SI 2)

 兒玉ら(2-1)は,高回転条件におけるノック発生メカニズムを解明するために,燃焼開始前のガス交換ばらつきに起因する物理的要因と,未燃部の燃焼反応に関するばらつきに起因する化学的要因に着目し,単気筒エンジンを用いた実験と,サイクル間ガス交換および燃焼反応の数値計算により,それぞれ検討を行った.その結果,ガス交換に関する物理的要因が支配的であるとの結論を得ている.すなわち,燃焼重心が進角した場合,EVO時の圧力が低下し,次サイクルの残ガス率が上昇する.この結果,IVC温度の上昇により圧縮端温度が高くなり,ノッキングが発生しやすいとしている(図2-1).さらに,高回転条件の場合,残ガス温度が高くなるため,IVC温度に対する残ガス率の影響が強く表れることを示した(図2-2)

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 漆原ら(2-2)は,火花点火制御圧縮着火(SPCCI)を適用した機関において,低回転域と高回転域でのノッキングメカニズムの解明を行った.まず,各機関運転速度において実機試験を行い,その現象に対するLESを実施した.その結果,高回転時にはデトネーションが発生し,筒内で局所的に圧力が急上昇することを明らかにした(図2-3).さらに,デトネーション発生を模擬した一次元DNSを行い,衝撃波発生時点の未燃混合気圧力と温度が高い場合においてデトネーションが発生することを示した.また,高回転ほどエンドガス温度と圧力が高いため,デトネーション発生頻度は高くなることを明らかにした.加えて,低回転域では,外部EGR,スワール流動および圧縮行程噴射を最適化することで,全負荷でもSPCCI燃焼を実施できることなどを示した.(名田)

【参考文献】
(2-1) 兒玉貴義,今岡佳宏,白石泰介,ガソリンエンジン高回転条件のサイクルばらつきに起因するノックに関する研究,2019年内燃機関シンポジウム,講演番号44
(2-2) 漆原友則,藤本英史,河野通治,森本博貴,松尾佳朋,志々目宏二,高圧縮比ガソリンエンジンにおけるノッキングメカニズムの分析と全負荷SPCCI燃焼の実現,2019年内燃機関シンポジウム,講演番号45