TOP > バックナンバー > Vol.13 No.7 > ガス燃料エンジンⅠ ―カーボンニュートラル化技術―
竹内らは(1)-(3)、アンモニア単一燃料を用いたエンジン研究を発表した。難燃なアンモニアを直接燃焼させずに、アンモニアから補助燃料である水素を、オンボード改質器を用いて取り出して燃焼させたことが独創的な発想である。システム構造を(図1)に示す。
1報では改質器を予熱することでアンモニアと空気の混合気を供給後ただちに水素が供給されること(図2)、直列4気筒産業用エンジンの運転範囲を概ねカバーできることを示した。2報ではエンジンシステムをトーイングトラクタに搭載して評価を行い、LPG利用より出力は20%程度低下するが牽引能力含め大きな問題ないことを確認した。3報では冷間始動においても適切にλを制御することで、テールパイプからアンモニアの排出させずにNOx,N2Oを低いレベとできることを実証した(図3)。輸送機器のカーボンニュートラルに向けた多様なエネルギーの利用方法として今後の展開を期待したい。
檜山らは(1)、中型商用車に適用可能なポート噴射式水素エンジンを開発することを目的に、燃焼室形状等の最適化による出力向上を行った。その中からピストンリングの効果について紹介する。
試験に用いたピストンリング形状はベースエンジンに対してトップリングの合口隙間を低減させ、スロットルの追加で発生する負圧によるオイル上がりを削減することを狙い3ピースタイプとした(表1)。 エンジン試験結果から、ブローバイガス流量の低減(図4(a),(b))、オイル消費の低減(図4(c))、Pmaxの向上を確認した(図4(d))。ブローバイガスの減少とオイル由来の異常燃焼改善の結果として運転領域全体で出力、トルクともに向上を可能とした。(図5)。
コメントを書く