TOP > バックナンバー > Vol.13 No.7 > 先進ガソリン機関技術III
先進ガソリン機関技術IIIのセッションより、将来の燃焼技術および新型エンジンに関する講演をそれぞれ1件ずつ紹介する。
木村ら(1)は、高い熱効率と後処理が不要となるレベルの低NOxの実現を目指し、空気過剰率λが2.5を超える希薄混合気の安定燃焼を実現した(図1)。ロングストロークや高タンブル(タンブル比4)の採用による筒内流動の強化と合わせ、二つの直噴インジェクタを用いて点火栓近傍に弱成層した混合気形成を行い(図2)、均質混合気に対して大幅に希薄燃焼限界を拡大している。また、希薄化に伴う未燃HCの増大をクエンチが生じる燃焼室狭小部を削減することにより低減している。本報では外部過給を用いて評価を行っているが、今後、高効率な過給機と組み合わせた技術実証が期待される。
山口ら(2)は、新型3.3L直列6気筒エンジンについて紹介した。本エンジンは、同排気量のディーゼルエンジンとボア、ストロークの基本諸元を共通化している。ミラーサイクルを採用することにより、過給エンジンとしては、高い圧縮比12としている。既存エンジンに対し、排気量を拡大することにより高いトルク領域での燃料消費を実現した(図3)。吸気流動強化、燃焼室形状の改善により全域にてEGR(内部および外部)を導入し、マイルドハイブリッド化や多段変速機によるエンジン運転領域シフトを行っている。また、モータ駆動域拡大をねらった電力確保のために、燃焼による始動アシストを採用していることも技術的なトピックスとなっている。
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