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EV・HVインバータ/バッテリセッションでは、量産EVの駆動システム関連の温度制御に関する発表と、駆動用Li電池の安全性チェック試験法に関する計4発表があった。
EV駆動用インバータのパワー半導体素子はその稼働温度を逸脱しないように、素子組み込みの温度センサの情報を用いて電力を制限する必要があるが、応答遅れや素子のばらつきを考慮したマージン分の過度な出力制限が課題であった。 渡邊ら(1)は、素子の損失と熱伝達についての調査から、損失モデル(極低速/通常速度、トルクの大小など、車両挙動を考慮)と熱抵抗モデル(図1に示す回転数に応じた可変ゲインパラメータを有する一時遅れ系を、複数段組み合わせたもの)を導き、これらのモデルを用いてセンサなしでピーク温度をトレースする方法を提案した。クーラント温度の異なる条件下での急加速時の制御を、この方法で行った図2、図3の結果から、センサなしの本方法が実用可能であるとしている。
駆動用電池の主流であるLiイオン電池は、万が一、一つのセルで熱暴走が発生しても周囲のセルに波及しないことが、致命的な事故を防ぐために必須であるので、周囲セルへの波及がないことを確認するために意図的に一つのセルに熱暴走を発生させる試験が重要である。Kageiら(2)は、図4のモジュール電池の目標セルに、(a)レーザによる加熱、(b)釘刺し、(c)ヒータ加熱の3方法で熱暴走を発生させる比較試験を実施し、目標セルと隣接セルの開放電圧と温度の変化(図5参照)を定量的に比較し、(c)が目標セルを効果的に加熱できないだけでなく隣接のセルへの影響が大きいこと、(a)、(b)とも隣接セルへの影響がないが、応答が早く、目標セルの位置の制約がない(a)が理想的であることを明らかにした。また、同グループのKoshikaら(3)は、レーザによる加熱法に関する詳細を紹介し、提案する熱暴走の成否の判定基準についてGTR-20での基準との相違を含めて紹介した(表1参照)。