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過給ディーゼルエンジンは比出力および熱効率の向上を進めると最大筒内圧力が上昇する傾向にあり、更なる改善には筒内圧力の許容値が制約となることが懸念される。 長田ら(1)はこの課題に対してストレージ付6ストロークサイクルを検討した。これは1回の圧縮行程で得た高温高圧空気を2回の燃焼行程に分けて利用する方法で、一部の圧縮空気を貯めるストレージタンクがヘッド側に設けられている。最大筒内圧力が4ストロークサイクルと同じ条件では幾何学圧縮比を大きくでき、高膨張比による熱効率改善とトルク向上が得られることが示されている。一方、熱損失を含めたシミュレーションでは期待した熱効率向上が難しく、大幅な冷却損失改善が必要としている。このような従来の方式に捕らわれない考え方はブレークスルーや新たな気づきをもたらす可能性があるため、今後もこのようなトライと活発な議論を期待したい。(小池)
高塚ら(2)は、大型商用車の冷間始動において、制動エネルギー回生等で得た電力を利用し排気後処理装置(尿素SCR)を加熱昇温するシステムについて、実機過渡運転試験(WHTC-cold)を行い、電気ヒータ搭載位置が装置昇温時間とNOx浄化率に与える影響を明らかにしている。図1より、NO2生成を促進しFastSCR反応を加速するために電気ヒータをDOC前に設置した場合(図中EHDOC)は放熱が大きく、SCR前に電気ヒータを設置した場合(図中EHSCR)よりもSCR昇温時間が長期化していることが分かる。この昇温時間の変化により、電気ヒータをDOC前に設置した場合のNOx浄化率(90.7%)は、SCR前に設置した場合のNOx浄化率(91.5%)に対し低くなることが報告された。(小酒)
Makoto KOIKE(JSAE ER Editorial Committee)
Hidenori KOSAKA(JSAE ER Editorial Committee / Tokyo Institute of Technology)