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Vol.11 No.9

微粒子フィルタ
森 雄一
Yuichi MORI
本誌編集委員、堀場製作所
JSAE ER Editorial Committee / HORIBA, Ltd.

講演紹介1

 本セッションではPF(微粒子捕集フィルタ)に堆積したPMの酸化除去性能や酸化メカニズムのモデル化に関する研究が報告された。ここではDPF上のアッシュ成分の生成経路に関する研究について紹介する。
 石井ら(1)はDPF内部におけるアッシュ堆積予測モデルの精度向上を目的として、エンジンから排出されたアッシュの主成分であるCaOがDPF上に堆積するCaSO4へ変化する反応メカニズムを検討した。DPF再生時にDOCからSO2、SO3が数百ppmで排出されるという既知情報を元に、模擬排出ガス(SO2/O2/SO3/N2)をCaOに供給した反応実験を行った結果、96%がCaSO4となり、CaOのほとんどが反応することが明らかとなった(図1の条件3)。また、共存するH2Oの影響によりCaOの粒径が大きくなると、比表面積が小さくなり、CaSO4への反応性が低下することも判明した(図2)
 以上のことから、DPF上のCaSO4は、DPF再生時にH2Oの存在により生成は抑制されるものの、DOCから排出された高濃度SO2やSO3とCaOによる反応が支配的となり、生成が促進されると結論付けた。

【参考文献】
(1) 石井 雄大、横林 佑亮、 境田 悟志、酒井 康行、田中 光太郎、金野 満:DPF上のアッシュに含まれる硫酸カルシウムの生成経路に関する研究、2021年秋季大大会学術講演会講演予稿集、No.20216019