TOP > バックナンバー > Vol.11 No.2 > 9 噴霧(2)
佐々木ら(9-1)は将来e-fuelの一つとして期待されているポリオキシメチレンジメチルエーテル(OME)と軽油の混合燃料について、噴霧特性と燃焼特性を定容容器試験機により実験的に調べた結果について報告した。表9-1にOMEと軽油の混合燃料の主な物性値を示す。定容容器を用いて、混合燃料の非燃焼蒸発噴霧と噴霧燃焼の高速度撮影を行い、噴霧特性等を計測している。図9-1は軽油とOME混合軽油の高速度撮影画像である。得られた結果から、OMEおよびOME混合軽油は軽油に比べ噴霧内平均当量比が希薄化することを明らかにしている。e-fuelなど将来の燃料多様化に対するエンジン技術開発のために有用な基礎データを取得している。
森田ら(9-2)は将来e-fuelの一つとして期待されているポリオキシメチレンジメチルエーテル(OME)と軽油の混合燃料について、OME添加がゴム製エンジン部品に与える影響と、混合燃料を用いた場合の機関性能を調べた結果について報告した。表9-2に用いた試験燃料の主な物性値を示す。エンジン配管系のシール材に使用されるNBRとKFMの2種類のゴムシートのOME混合軽油への浸漬試験を行い、引張強度と体積膨張率の変化を計測している。
図9-2に示すように、両ゴムともにOME混合割合の増加に伴い引張強度は低下し体積膨張率は高くなる。OME混合軽油による直接燃料噴射式4気筒ディーゼル機関の性能試験では、OME混合割合の増加に伴い全負荷時のトルクは減少すること、部分負荷における熱効率はOME混合割合の増加に伴い減少し、排気中のすす、HC、COの排出量は低下すること(図9-3)などを明らかにしている。