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Vol.11 No.2

8 潤滑
三原 雄司
Yuji MIHARA
東京都市大学
Tokyo City University

 東海大学の小川(8-1)らは、フォトクロミズムによるピストンリング周りの油膜挙動の可視化を実施した。これはレーザによる紫外光の照射によりエンジン油膜を着色して着色部をトレーサとして流れの可視化を行う手法である。図8-1の赤枠はピストンの可視化範囲で、左側にセカンドリング合口、右側にトップリング合口がある。

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 図8-2は吸気行程のATDC80°でレーザを長楕円状にしてサードランドに照射して油膜の観察をした結果で、ランド上の厚い油膜が確認でき、この油膜は図8-2 (1)のWOT条件では10サイクル後も油膜の移動がないが、図8-2 (2)のClose条件では6サイクル目で油膜はトップリングの合口下部に到達し、8サイクル目ではトップリング溝からトップランドへ輸送される現象が観測されている。LIF法では油膜流れの速さや方向の詳細は不明な場合が多いが、この方法では時々刻々の油膜の輸送の様子が明確に分かり、LOCのメカニズム解明や解析モデル構築に期待が寄せられている。

【参考文献】
(8-1) 小川 航平、畔津 昭彦、倉辻 風樹、田牧 清治、南郷 哲哉:フォトクロミズムを用いた可視化手法によるピストン周りのオイル挙動計測 (吸気絞り条件によるオイル挙動の変化)[No.20-43] 第31回内燃機関シンポジウム 講演論文集〔2020.11.16-18〕