TOP > バックナンバー > Vol.11 No.2 > 7 ガス・水素エンジン(2)(3)
甲田ら(7-1)は、副室ガスエンジンの主燃焼室の壁面熱流束の直接計測を行った。熱流束計測には3線式の同軸型熱電対センサを使用し、図7-1および図7-2に示す通りピストンおよびシリンダヘッドに計測センサを設置した。ピストンに設置したセンサの信号線はリンク装置を用いてエンジン外部の差動増幅器に接続され、計測を実施した。
計測の結果、主な熱損失発生は図7-3および図7-4に示す通り副室からのジェットがピストンに衝突する領域とスキッシュエリアであることが分かった。本報告による計測結果は、今後のガスエンジンの熱効率向上のための熱損失低減策を考えていく上で参考となる。
岡本ら(7-2)は、圧縮膨張機関を用いて点火プラグ近傍における流動場のPIV計測と火花放電挙動の可視化を行った。PIV計測時の試験装置の構成を図7-5に示す。
当量比をφ1.2、1.0、0.8と変化させた場合の可視化画像および放電チャネル長さを図7-6に示す。図7-6の可視化画像から白色の放電チャネルと輝炎が観察される。φ1.2のリッチ側条件では放電チャネル長さがほぼ一定で初期火炎核の位置が安定しているが、φ=0.8のリーン条件では放電チャネル長さが流動によって伸ばされ、-8.79deg.ATDCでは短絡して再放電が生じていることが分かる。
また図7-7に示す通り、流速が大きくなるにしたがって、放電チャネル長さは大きくなっていることが分かる。本研究は流動場と放電を同時に計測し、鮮明な可視化画像が得られており、火花放電現象の理解に参考となる。