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TOP > バックナンバー > Vol.13 No.1 > エンジン部品・潤滑油・トライボロジーI
アート金属工業の小林ら(1)は、近年の内燃機関に求められる更なる高効率化を見据えてピストンのピン穴部の信頼性を確保する目的で予測技術の向上に取り組んだ。以前より検討している薄膜センサの改良を行い、課題であった耐久性を大幅に向上させて、図1に示すようにピストンピン部へ配置してエンジン実働試験を実施した。一方、解析方法に関しても、摺動面のなじみ後の形状を解析の入力値にすると共に新たなEHDモデルから得られた表面粗さパラメータを適用することにより予測精度の向上を図った。図2は実測と解析結果を示している。解析方法の変更によりピン穴部のテーパ形状による油膜圧力の上昇が実測と解析でよい一致を見ている。また、クランク角度に対するサイクル変化に関しても予測精度の検証を行い、信頼性検討のための潤滑状態把握も可能であることを示唆している。
福井大学の鈴木・本田(2)は、Al-Sn-Si合金とS55Cを用いた摩擦試験を通して、潤滑油添加剤による境界膜が摩耗特性に及ぼす影響と摩耗形態の遷移過程を明らかにすることを試みた。OilAは実機の潤滑油(MoDTCとZnDTPが添加)、OilBは基油に粘度指数向上剤のみ添加の二つの潤滑油に対して、図3に示す試験機を用いてブロック・オン・リング方式での摩擦試験を行った。図4はOilAの摩擦試験結果を示しており、摩擦係数は荷重が増大するごとに不安定に変化していることが分かる。OilBではこのような変化が見られなかったことから、添加剤由来の境界膜の形成および変化によると推測している。すべり距離および荷重変化に対して表面の元素分析を行い、なじみ過程の境界膜形成とそれ以降の摩耗の伸展の遷移過程を提案している。
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