function gtag() { dataLayer.push(arguments); }

TOP > バックナンバー > Vol.12 No.5 > モビリティの進化を支える最新の熱流体技術 ―最新のCFD技術―

Vol.12 No.5

モビリティの進化を支える最新の熱流体技術 ―最新のCFD技術―
大西 浩二(本誌編集委員)

Koji ONISHI (JSAE ER Editorial Committee)

 ディーゼルエンジンのオイル消費量を低減するためにオイルリングの面圧を上げるとフリクションが悪化する。阿部ら(1)はCFD解析と実験計画法を用いて2ピースオイルリングの形状を最適化することによってこの問題の解決を図った。L9直交表を使って設定したリング断面形状に3Dモデルによるシミュレーションを適用してピストン下降ストロークを模擬し、要因効果図からオイル消費に対して最も重要な寸法を見出した(図1)。この知見を基に設計した新形状のオイルリング(図2)周りの油量を可視化試験で評価し、シミュレーション結果と近い結果を得た。実機評価の結果、新形状のリングは従来形状に対して全負荷条件でオイル消費を20%低減できた(図3)。

 ノックの抑制策として行われる吸気のタンブル流動強化は、組み合わせる燃焼室形状によっては期待した効果を出せない場合がある。黒木ら(2)はピストン上面の形状に3D燃焼シミュレーションを適用し、燃焼中の流動が燃焼と火炎伝播に及ぼす影響を把握しようとした。シミュレーションモデルは常用に近いエンジン運転条件に適用できてかつ短時間に計算できることを目標に開発した。シミュレーションの結果に現れた吸気バルブリセス部に生じたω型の渦(図4)が火炎伝播を邪魔していることと、点火位置近傍のタンブル流れ(図5)が火炎伝播に影響していることに着目して、それらの指標を数値化した。得られた知見を基に改良したピストンでは、最大効率点近傍で燃費を2%改善できた(図6)。

×

この記事(あるいはこの企画)のご感想、ご意見をお聞かせください。
今後のコンテンツづくりの参考にさせていただきます。

コメントをお寄せいただきありがとうございました。

職種

職種を選択してください

コメント

コメントを入力してください

閉じる
閉じる
【参考文献】
(1)阿部 優士、酒井 俊行、彦根 顕、大平 昌幸、梅田 直喜:CFD解析による新断面形状2ピースオイルリングの開発、2022年春季大会学術講演会講演予稿集、No.20225273
(2)黒木 志典、奥井 和仁、島 祐太、小野 泰久:ECFM-RANSモデルによる3D燃焼シミュレーションを活用した火花点火ガソリンエンジンの耐ノック性改善、2022年春季大会学術講演会公演予稿集、No.20225271