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中村ら(1)は図1で示すように使用温度領域での粘度を半減させて攪拌抵抗の低減を図り、燃費を約1%向上させつつも、低粘度化しながらも耐焼き付き性を向上させるため、硫黄系極圧剤、リン系摩耗防止剤から形成される保護被膜強化を狙って、摩耗防止剤を増量した。更には金属表面への添加剤吸着性を改善させるためカルシウム系清浄剤を変更、油膜切れを防ぐための油膜形成ポリマーを追加した。一方、湿式クラッチの摩擦制御のために配合していた摩擦調整剤は絶縁抵抗を考慮し減量した。
これらの添加剤改良をATユニットのギア耐久試験により検証したところ、図2で示すように歯面にリンとカルシウムが多く存在することが確認し、2倍以上の疲労寿命となることを検証している。
山田ら(2)はエンジン油中の灰分(金属分)がGPFの目詰まりを引き起こす懸念があるため、油中灰分を減らしつつ省燃費性を向上させ、かつ信頼性も確保したエンジン油を開発した。
図3に示すように従来油であるSN 0W-16に対し、検討油は0.2%の省燃費性向上効果があり、更には油中灰分を減少させるほど、その効果が大きくなる。これは低温側での粘度を低減していることや、摩擦調整剤としてMoDTCに加えて、低温で効果を発揮する有機エステルの効果であるとしている。
油中灰分を減らすためには耐久性に影響する金属系添加剤を減量する必要性があるが、Mo系酸化防止剤をアミン系酸化防止剤に変え、更にはCa系清浄剤とMg系清浄剤の配合を見直した。これにより酸化安定性、清浄性に優れ、図4に示すように従来油と同等以上の塩基価維持性を保ちながらも、灰分0.8mass%まで下げたAPI SP/ILSAC GF-6B規格適合油を開発できたとしている。
Takumaru SAGAWA (Nissan Motor Co., Ltd.)