TOP > バックナンバー > Vol.11 No.7 > 排気触媒システムⅡ -DPF-
本セッションではPF(微粒子捕集フィルタ)に堆積したPMの酸化除去性能や酸化メカニズムのモデル化に関する研究が報告された。ここでは低負荷域におけるDPF連続再生システムの開発に関する取り組みについて紹介する。
津田ら(1)はエンジン低負荷運転時において、DPF内に設置された触媒層の外周部温度が触媒の活性化温度に達せず、PMが堆積し続け、排ガス流路を閉塞する状態になることに対し、燃料にセリウム系触媒を混合(触媒の低温活性化)し、DPFへの断熱構造を組み合わせたDPF連続再生の可能性について考察した。図1にDPF入口の温度と排気系統圧力の変化(流路閉塞度合い)を示す。B-1は通常の運転状態、B-2はセリウム系触媒添加の燃料と断熱対策を組み合わせた結果を示す。図2(a)はB-1、(b)B-2におけるDPF内部の温度分布を示す。B-2の断熱効果により、触媒層の温度分布はほぼ均一となり、より効果的なPMの酸化/燃焼除去が可能となることが判明した。図1,2の結果より、燃料にセリウム系触媒を添加するとともに、断熱構造により排ガスのDPF入口温度を310℃以上にすることでPMの堆積による閉塞を防ぎ、DPFの連続再生が可能となることが明らかとなった。
Yuichi MORI (JSAE ER Editorial Committee / HORIBA,Ltd.)