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TOP > バックナンバー > Vol.12 No.5 > 走行中給・充電/ワイヤレス電力伝送技術
島村ら(1)は、電池の制約から実施が困難とされている長距離輸送用貨物車の電動化を促進するために、高速道路に450kWの接触式給電インフラ(ERS)を設置する際の必要設置長さについて、図1のシミュレーションで検討した。東京-大阪間の高速道路を利用して貨物車(総重量25t)で一定のパターン(一般路:50km/h、高速:80km/h)で配送作業を実施した際に、各IC間の中央付近に1区間のERSを設置する方法を採用する仮定で、高速道路走行分の給電を完結出来る(電池のSOCが高速道路走行後に上昇する)のに必要なERSの長さを求めた。このERS設定で前述のシミュレーションを実施し、各IC間でのSOC上昇量を確認した。その結果、一部に充電不足の区間があり、この原因がERS区間の下り坂での回生制動時の充電阻止であることを確認し、下り坂を避けた設置位置に移動することで、図2のように良好な充電が確認できた。また、上り坂での電池の負荷も軽減されるとしている。
後述する非接触の給電システムと同様、設備のライフサイクルコストを含めた検討と安全性の検討も、並行して進めるべきであろう。
一方、非接触給電システムであるDWPT(Dynamic Wireless Power Transfer)は種々の未解決の課題を抱えてはいるものの、既に停車中給電で規格化されている磁界結合型の実用を前提とした研究も盛んになっている。居村ら(2)は、上記の接触式と同様高速道路に敷設する際の経費について、フォローアップ可能性に重点を置いた検討を紹介した。システムの細かい選択肢とその特徴について解説(例えば、大型/小型車への対応方法:図3)した上で、種々の選択肢での初期導入コスト、運用時の保守等のランニングコスト、設備更新時のコスト等をできるだけ積み上げる形で紹介している。また、コストの高いコイルに関しては、アスファルト舗装では図4に示すように掘り出しが可能で、再利用可能性が確認済みであることから、コスト低減が期待できるとしている。
詳細なデータは是非前刷りを参照されたい。DWPTをシステマティックに理解するためにも参考になる発表である。
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