4.1 EV/HVモータ(セッションNo.104)
現在量産されている駆動用モータは,需要の多い小容量のものが中心となっており,大出力モータの開発は量産効果が劣る点がネックとなり,生産例が少ない.中沢ら(4-1)は,実績とコスト効果のある小型モータ2台を図4-1に示すラビニヲタイプの遊星歯車で結合した大型乗用EV用の低コストで大出力のモータシステムを提案した.
サンギア1とサンギア2(ワンウェイクラッチ付き)に入力された2モータの出力がキャリアから出力されるもので,図4-2に示す様に,小負荷域で1モータ動作,大負荷域で2モータの和動作をすることで,低負荷域での効率改善を可能にする.
動作モードは,図4-3に示すように1モータモード,2モータモードのほかに二つのモードがある.その一つであるアクセル・ヒル・ストップ(傾斜地でのアクセルペダルでの停車または極低速走行)モードは,一般には大電流駆動となってインバータやモータ巻線の熱負荷に課題が多い難題であるが,ここではモータ1を逆転して両モータの速度を維持した状態で出力軸の極低速度やゼロ速度を実現することで,この難題を解決している点は注目に値する.既存のHEV用小型モータを用いたベンチ試験で,これらの基本的な特性を確認している.(清水)